いよいよやってまいりました、中2の天王山。またバッタバッタと英語の苦手な生徒が増えていく単元です。
まず何が難しいって、『不定詞』という言葉が難しい。この言葉の意味をまず理解させないといけません。
★不定詞=意味が不定な詞
つまり、この不定詞の形は、入る場所や流れによって3種類に意味が変わるのです。 意味が一定ではないために『不定詞』という名前を誰かがつけたのでしょう。
●to + 動詞の原形
意味は3つ(2番目が2つあるので本当は4つかな?)
●~こと
●~ために、~して
●~すべき(ための)
不定詞はこの訳になります。 例えば、動詞の make 、意味は『作る』ですが『to make』になると意味はその時その時で変わるということです。
「to make ってなんですか?」と聞かれても、意味はそのつど違うので答えられません。
【その1:名詞的用法】
またまた難しい言葉が出てきました。常に日本語の説明は必要です。これは、to がつくと動詞が名詞のように変わること、を指します。 名詞というのは主語にもなります。
●~こと
訳はズバリこれです。「こと」がつくと、動詞だったものが名詞っぽく生まれ変わるのです。『作ること・走ること・見ること・書くこと…』すべて動詞ではなく名詞に変わりました。日本語の例は以下のようなもので す。
「わたしは音楽を 聴くこと が好きです。」
『聴く』は元々動詞なのですが、『こと』が付いたことにより、動詞でなくなっています。 もちろん動詞が置かれるべき文の最後にも置かれていません(この文の動詞は、最後に置かれている『好む(好き)』です)。英語に直すとこうなります。
→I like to listen to (the) music.(←最近は the があまり入りません)
私は 好む 聴くこと 音楽を
(listen to~:~を聴く)
ちなみに、「わたしは音楽を聴くのが好きです。」これも同じです。ちょっと意地悪な先生は、わざと『こと』という言葉を入れてこない問題を作ったりします。例をあげてみましょう。
例1:私はお菓子を作るのが好きです。(『作るのが』を『作ることが』と素早く変換)
→I like to make cakes.
私は 好む 作ること お菓子を
不定詞が主語になる例はこちら
例2:泳ぐことは楽しい。(主語は『泳ぐこと』、動詞はないのでbe動詞を使用)
→To swim is fun.
泳ぐことは 楽しい
【注意表現!】
ここで、一つ注意すべき表現があります。『~したい』という場合です。例えば…
「私はその映画を見たい。」
このような場合「“見たい”って英語にすると何ですか?」と聞かれても、答えません。 なぜなら、そんな英語ないからです。『~したい』と 言いたい場合は英語はこういいます。
「~することを欲する」
結果、『~すること』なので、不定詞を使うのです(動詞は『欲する』)。
従って、「私はその映画を見ることを欲する」。
この形にして、初めて英語に変えることができます。
→I want to see the movie.
私は 欲する 見ること その映画を
この『~したい』の表現は良く出るので、すかさず『~することを欲する』と変えられる訓練が必要です。
※『want to = したい』と覚える人がいますが、絶対に避けましょう。この『to』は不定詞の『to』です。つまり直後には100%動詞が入ります。従って『to + 動詞』の部分がセットなのです。不定詞の役割をきちんと理解するには、こんな覚え方をしてはダメです。逆に『want』がわからなくなります。これは熟語ではありません。
【豆知識】
「不定詞は意味を3つも覚えなければならないのですか?」
こういう場合は、こちらからこう聞き返します。
「あなたは英語を前から訳しますか?」
ここで、「yes」の答えが返ってきたら、「それなら覚える必要はありません」と答えます。つまり、常に英語を前から訳す癖がついている生徒には不定詞の暗記は必要ないのです。英文を前から訳していった場合、不定詞は3つのうちのどれか自然な訳に勝手に当てはまってくれます。例えば、
I began to study English last year.
これを前から訳すと、「私は 始めた…」と、ここで不定詞の「to study」にぶちあたりますね?「始めた」って言ってるのですから、 当然「何を?」に当たる言葉が次にあるはずなので、この「to study」は勝手に「勉強することを」 と訳せます。他の用法に入っても、全く同じです。前から訳すと得なことばかりですよ!